高精度・超低消費電流・電源切替機能付きリアルタイムクロックモジュール
『RV-3032-C7』の Q&A

@ RV-3032-C7は レジスタ初期値(メーカー出荷時)ではバックアップ電源切替えはオンになっていますか?
A バックアップ電源切替機能のモードにより消費電流は変わりますか?
B バックアップ電源切替設定したのに電源切替えされずパワーオンリセットされてしまうのですが?
C 先にVbackup端子へ電圧を印加した場合には動作しますか?
D クロック出力を使用しない場合は単にCLKOUTをオープンにしておけばよいですか?
E トリクルチャージ機能の初期値はオン・オフどちらに設定されていますか?
F 回路接続の参考例を教えてください。
G I2Cインターフェースのクロックストレッチ機能はありますか?
H I2Cインターフェースのリピート・スタートコンディションには対応していますか?
I I2Cインターフェースのタイムアウト機能はありますか?
J バックアップ一次電池の持ち時間はどうやって考えればよいでしょうか?
K EVI端子(外部イベント入力端子)はどのように使うのでしょうか?
L RV-3032-C7の周波数温度特性はどのようになりますか?
M リフロー実装について『温風リフローを推奨』となっているのは なぜでしょうか?
N リワーク時の注意点はあるでしょうか

 
 
@ RV-3032-C7は レジスタ初期値(デフォルト)ではバックアップ電源切替えはオンになっていますか?

RV-3032-C7 のメーカー出荷時のレジスタ初期値ではバックアップ電源切替機能は『オフ』になっています。

バックアップ電源切替を設定するには『C0h』レジスタの設定が必要です。また設定値を EEPROMレジスタへ保存するために『3Fh』レジスタでの EEPROMへの書込み設定 を行って下さい。 

(C0hレジスタ:マニュアル 45ページ/3Fhレジスタ:マニュアル 44ページ )

 

(関連情報)C先にVbackup端子電圧を印加した場合には動作しますか?

 
A バックアップ電源切替機能のモードにより消費電流は変わりますか?

RV-3032-C7 の消費電流はバックアップ電源切替 のモードにより、RTC内部でのVDD, VBACKUPの電圧モニタリング動作が加わるためVDD電源動作時の消費電流が若干変わってきます。電源切替モードは@『レベル切替モード』 とAダイレクト切替モード の2つのモードと、『電源切替無し』 があります。

(+25℃時電流:マニュアル128ページ/温度変化時電流:マニュアル131ページ

 

@『レベル切替モード』・・・・バックアップ電源がリチウム一次電池の場合はこちらを使用します

  (Level Switch Mode)

 (VDDが+2.0VTyp. を下回るとVbackupへ切替

 

A『ダイレクト切替モード』・・・二重層コンデンサや二次電池の場合はこちらを使用します

 (Direct Switch Mode)

Vdd電圧<Vbackup電圧で Vbackup に切替

 

※ なお『電源切替無しモード』の場合は電圧モニタリング動作が無くなるため電流値は最も小さくなります。

 
B バックアップ電源切替設定したのに電源切替えされずパワーオンリセットされてしまうのですが?

RV-3032-C7  のf/wの設定で『C0h』アドレスでバックアップ電源切替に設定した後に、『3Fh』アドレスにて

 ミラーRAM→EEPROM への書込み動作 を実施されていない可能性があります。RV-3032-C7 にはミラーRAMの『オートリフレッシュ機能』があり、デフォルトの設定では24時間に1回(日付の変わるタイミング)で EEPROMレジスタの値で ミラーRAMの値をリフレッシュします。そのためEEPROMへの書込み動作を行っていないと24時間以内でレジスタが初期値(バックアップ電源切替無し)に戻ってしまいます。C0h〜CAh のEEPROMレジスタの設定を行った場合は 3Fhレジスタ への書込みで ミラーRAM→EEPROM への書込みを実行してください。

( 3Fh/EEPROMコマンドレジスタ:マニュアル44ページ /オートリフレッシュの設定:マニュアル25ページ68ページ

 
C 先にVbackup端子へ電圧を印加した場合には動作しますか?

RV-3032-C7 は以下の @A いずれの場合も Vbackup端子からは動作開始はせず電流も消費しません。

 

@デフォルトの状態では電源切替=オフとなっているためVbackup電源からは動作しません。

A 事前にレジスタで電源切替えに設定してEEPROMに電源切替の設定を書き込んだ場合でも、最初に Vbackup にのみ電源接続された場合には 動作開始しません。Vddに電圧印加されて初めて動作を開始します。一度Vddに電圧印加された後は Vdd がオフになると自動でVbackupに切替り動作します。

 
D クロック出力を使用しない場合は単にCLKOUTをオープンにしておけばよいですか?

クロック出力を使用しない場合は CLKOUT端子はオープンとして頂いて問題ありません。ただしデフォルトで 『CLKOUT = 32.768kHz出力』の設定になっているため、オープン(無負荷)としている場合でも 500nA程度 余計に電流 を消費してしまいますので、より消費電流を抑えるたたい場合には NCLKEビット (C0hアドレス) の設定で CLKOUT=オフ とするように設定してください。

( C0hの設定/マニュアル45ページ )

 

なおRV-3032-C7がバックアップ電源での動作中(バックアップモード時)には、 CLKOUT出力は自動でオフになります。

 
E トリクルチャージ機能の初期値はオン・オフどちらに設定されていますか?

RV-3032-C7トリクルチャージ機能 は初期値では『オフ』となっています。

( C0hの設定/マニュアル45ページ )

 

@バックアップバッテリが一次電池の場合はトリクルチャージ機能は必ず『オフ』として下さい。

A二次電池の場合は『オン』として、チャージ電圧 (Vdd/1.75V/3.0V/4.4Vから選択)及び トリクルチャージ抵抗 (

1kΩ/2kΩ/7kΩ/11kΩ)を設定します。

 

『C0hアドレス』は EEPROMレジスタ なので設定後に『3Fhアドレス』での書込み設定 を行われて下さい。

 
F 回路接続の参考例を教えてください。

回路接続例は アプリケーションマニュアルの 140〜144/154ページに、レジスタの設定例と合わせて

5通りの接続例が記載されていますのでそちらをご参照下さい。

 

RV-3032-C7は電源バックアップモード時にも『INT端子』から『割り込み信号』を出力させることが出来ます。

バックアップモード時に割り込み信号を出力させる場合は『INT端子』は『Vbackup端子』へプルアップ接続して下さい。

 

※『外部イベント入力機能』を使用しない場合は 『EVI端子』はオープンにはせずGNDへ接続して下さい。

※『電源切替え機能』を使用しない場合は 『VBACKUP端子』は 10kΩでGNDへプルダウン接続して下さい。

 

 

G I2Cインターフェースのクロックストレッチ機能はありますか?

RV-3032-C7及びその他の機種でも クロックストレッチ機能はありません。

 
H I2Cインターフェースのリピート・スタートコンディションには対応していますか?

RV-3032-C7はリピート・スタートコンディションに対応しています。

( I2Cインターフェースの書込み及び読込み/マニュアル125ページ)。

 
I I2Cインターフェースのタイムアウト機能はありますか?

RV-3032-C7 のI2Cインターフェースは『950ms』のタイムアウト機能があり、1回の通信が『950ms』を超えるとインターフェースはリセットされます。 

(時刻書込み・読込み設定について/マニュアル66ページ をご参照下さい)

 
J バックアップ一次電池の持ち時間はどうやって考えればよいでしょうか?

RV-3032-C7のバックアップ一次電池の持ち時間は単純計算では以下になります。( +25℃ /+3.0Vdd と仮定して)

※あくまで目安を求めるための単純な机上計算です。実際にこの通りになる訳ではありませんのでご承知ください。

(設定条件)

※ RV-3032-C7 の消費電流 (マニュアル128ページ)

 レベル電源切替の場合 ≒ 190nA Typ./ 300nA Max (+3.0V, @+25℃)

 

(A) バックアップ一次電池が CR2032の場合は公称容量が『220mAh』

→ (220mA÷0.190μA)×h ≒ 1,157,894 (h)

  ≒ 48,245 (日) = 132年と65日

 

(B)バックアップ一次電池が CR1620の場合は、公称容量が『75mAh』

→ (75mA÷0.190μA)×h ≒ 394,736 (h)

  ≒ 16,447 (日) ≒ 45年と22日

 

(C) バックアップ一次電池がCR1220の場合は、公称容量が『35mAh』

→ (35mA÷0.190μA)×h ≒ 184,210 (h)

  ≒ 7,675(日) ≒ 21年と10日 

 

(D) バックアップ一次電池がCR1025の場合は、公称容量が『35mAh』

→ (30mA÷0.190μA)×h ≒ 157,894 (h)

  ≒ 6,578(日) ≒ 18年と8日 

 

あくまで机上の計算ですが上記の様にリチウムボタン電池では年単位の時刻保持が可能です。

ただし上記は常温環境前提での計算で、高温環境ではRTC自体の消費電流は増えますので電池の消耗がより早く進みます(温度と消費電流の関係は マニュアル131ページ をご参照下さい)。またそれ以外の誤差要因:電池そのものの長期での自己放電がありますので実際には数十年は持ちません。また温度変化による(低温)電圧降下、その他部品のばらつきなどがあります。

 
K EVI端子(外部イベント入力端子)はどのように使うのでしょうか?

EVI端子は 外部イベント入力端子として使用します。

スイッチが押されるなどの何らかのイベントの発生を検出します。

  @ 外部イベント検出時に割り込み信号を発生させることが出来ます。

  A 外部イベント検出時にタイムスタンプを記録させることが出来ます。

 

(外部イベント入力について/マニュアル/85〜88ページ )

(タイムスタンプの設定/マニュアル7101〜102ページ )→ タイムスタンプ機能について

 

※EVI端子の機能を使用しない場合はGNDにプルダウンして接続して下さい。

 オープンにしてしまうと予期せず消費電流が増えてしまう場合があります。

 
L RV-3032-C7の周波数温度特性はどのようになりますか?

RV-3032-C7 の時刻精度(及び1Hz出力)の温度特性は、高精度に温度補償されており、

工場出荷時の値は 『±2.5ppm以内@-40〜+85℃』 の精度です。

ただしリフロー実装時の変動が±0.5〜1.0ppm程度あると考えられますので、その分余裕を見て

設計頂きます様お願い致します。

アプリケーションマニュアル の134〜135/155ページをご参照下さい

 

 
M リフロー実装について『温風リフローを推奨』となっているのは なぜでしょうか?

赤外リフローの場合は、ホットスポットと呼ばれる温度の高い特異点が基板上に発生してしまうことがあります。リアルタイムクロックがホットスポットに晒されてしまいAu-Sn接合の融解温度を超えてしまうと封止部分が融解してリークが発生し内部の真空を保てなくなります。そうなると特性を劣化させて回復不可能な故障になってしまいます( 参考:リアルタイムクロック お取り扱い上の注意点 )。量産時の歩留まりにも影響する可能性があるため『温風リフロー』を推奨します。

 
N リワーク時の注意点はあるでしょうか?

リワーク作業はリーク故障のリスクが伴いますので一度基板から取り外した部品は製品にはご使用にならない様にして下さい。

どうしてもリワークする必要がある場合は、上記のリフローの件と同様で、リワーク時もリアルタイムクロックのケースに280℃以上の熱が加わるとリーク故障してしまうため、ホットエアガンは使わずにはんだの小手先を270℃以下として、ケースのリッド部(金属フタ部分)に触れないように取り外す必要があります(参考: リアルタイムクロック お取り扱い上の注意点 )。

リーク故障したものは見た目には違いは分からず、長期の運用で時刻ズレが判明するなど故障が分かりずらい場合もあるので、一度実装基板から取り外したものは安全のため製品にはご使用にならない様にして下さい。

 

※ 設計・開発時にご不明な点がございましたら、お気軽に 弊社のサポート窓口へお問合せ下さい。