@ RTC内部に水晶振動子 (XTAL) は内蔵されていますか?
A バックアップ電源切替機能の無い機種ではどのように電源バックアップすればよいでしょうか?
B レジスタの設定等で消費電流は変わりますか?
C O/E端子は通常どのように使用しますか?
D 高精度・温度補償タイプ の『温度特性の補正レジスタ』を設定する必要はありますか?
E 高精度・温度補償タイプ の精度を測定するにはどうすれば良いですか?
F 温度補償タイプ は電流値が大きくなると思いますが、RV-8803-C7 の電流値は温度補償動作を含めた電流値ですか?
G クロックストレッチ機能のある機種はありますか?
H マイコンを再起動した際に通信が出来なくなってしまった場合はどうすれば良いでしょうか?
I バックアップ一次電池の持ち時間はどうやって考えればよいでしょうか?
J EVI端子(外部イベント入力端子)はどのように使うのでしょうか?
K 温度補償の無い機種の場合は温度特性はどのようになりますか?
L RV-8063-C7 は 3線の SPIインターフェースですが、マイコン側が4線のインターフェースの場合はどのように接続すれば良いでしょうか?
M リフロー実装について『温風リフローを推奨』となっているのは なぜでしょうか?
Nリワーク時の注意点はあるでしょうか ?
こちら の リアルタイムクロック は全て水晶振動子内蔵タイプです。
>一般的に逆流防止のダイオードを用いて以下の様な回路で接続します。
(1) バックアップ電源がリチウムコイン電池など一次電池の場合は下図の『D1』『D2』両方のショットキーダイオードを用います。
(2) バックアップ電源が二次電池や二重層コンデンサなどの場合は『D1』のみを使用します。
(3) R1は二次電池の場合は過充電防止、一次電池の場合は万一の回路短絡時などのための保護抵抗です。使用される電池の規格に従って値を設定して下さい。
※ダイオードの選定の際は 以下の点に注意して下さい。
・なるべく漏れ電流の少ないものを選定します。
・順電圧降下がリアルタイムクロックのVddに対する SCL/SDA等の電源ラインにプルアップされている端子の入力規格内におさまるもの。 ( 例:RV-8803-C7, RV-8263-C7 の場合は VDD+0.3V 以内)
※推奨のダイオード型番については お問合せ下さい。
レジスタの設定、及びO/E端子の設定などで消費電流値は変わります。
特に出力されるクロックの周波数や出力のオン・オフで消費電流は大きく変わってきます。クロック出力のオン・オフはレジスタで設定する 機種と、『O/E端子』でも設定出来る機種とがあります。
また RV-3028-C7 の場合は 『バックアップ電源切替機能』の設定によって電流値が変わってきます(こちらご参照下さい)。詳しくは各機種のマニュアルでご確認頂くか、弊社営業部までお問合せ下さい。
O/E端子は通常はO/E端子をマイコンのポートに接続してマイコンからRTCのクロック出力のオン・オフを制御出来るようにします。O/E端子 = Low でクロック出力はオフになるので、マイコン側の電源がオフになった際には自動的にクロック出力がオフになるため バックアップ動作時のRTCの消費電流を抑える事が出来ます。
高精度・温度補償タイプは以下のラインアップがありますが、いずれの機種も工場出荷時に温度特性は補正されており(補正値をメモリに記録済み)ユーザー様では調整・設定する必要はありません (またはユーザーで設定変更できない様になっています )。レジスタで調整出来るようになって機種の場合でもすでに最適値が設定されているので ユーザー様サイドではこの値は変えないようにして下さい。
・RV-8803-C7・RV-3129-C3・RV-3149-C3
・RV-3029-C2・RV-3049-C2
RV-8803-C7 の場合はクロック出力を 『1Hz』に設定し周波数カウンタの ゲートタイムを 1秒以上にして直接測定して下さい。デフォルトの『32.768kHz』の出力は温度補償されていないため実際の時刻精度とは異なりますのでご注意下さい。
RV-3129-C3, RV-3149-C3 の場合は補正パルスの間隔が『32秒』であるため、クロック出力を『1Hz』に設定し周波数カウンタのゲートタイムを32秒に設定して測定して下さい。こちらもデフォルトの『32.768kHz』の出力は温度補償されていないため実際の時刻精度とは異なる精度で出力されるのでご注意下さい。
RV-8803-C7 のカタログ記載の電流値は 温度補償動作も含めた電流値 です。詳しくはアプリケーションマニュアルをご参照下さい。
クロックストレッチ機能のある機種はございません。
こちら のリアルタイムクロックのI2CインターフェースのものはI2Cバスのタイムアウト機能のある機種と無い機種があります。タイムアウト機能の無い機種の場合は通信の途中でマイコンの電源がオフになるなどで通信が完了しなかった場合にRTCはマスタのマイコンからの信号待ち状態のままになりSDAラインがLowのままで保持され続ける場合があります。その際に再度マスタのマイコンに電源が入り通信を開始しようとするとスタート・コンディションを生成出来ない状態 になります。この場合は以下の手順で途中になっている通信を終了させることで通信が出来る状態にします。
(Step.1) マスタから SDAラインに "1"のデータを送信します。
(Step.2) SDAラインが Low のままの場合は 続けてSCLラインに
0-1-0 (Low-High-Low) のクロック信号を送信します。
(Step.3) マスタからSDAラインの状態をチェックします 。
・SDAラインがまだ Lowの場合は Step 2〜3 を
最大9回まで繰り返します。
・SDAラインが High の場合 はStep4 へ進みます。
(Step.4) マスタからストップ・コンディションを送ります。
シンプルな計算例ですが RV-8803-C7 を例に計算すると以下になります。
(+25℃環境と仮定しての計算です)
・RTCの消費電流 = 0.24uA Typ. (+3.0V, @+25℃)
・バックアップ切替のダイオードの漏れ電流 = 0.1uA Max.
(推奨品番のダイオードの仕様より)
∴消費電流は @A合計で 『0.34μA』となります。
(A) バックアップ一次電池が CR2032の場合は
公称容量 『220mAh』ですので
→ (220mA÷0.34μA)×h ≒ 647,058 (h)
≒ 26,960 (日) = 73年と315日
(B)バックアップ一次電池が CR1620の場合は
公称容量 『75mAh』ですので
→ (75mA÷0.34μA)×h ≒ 220,588 (h)
≒ 9,191 (日) = 25年と66日
(C) バックアップ一次電池がCR1220の場合は
公称容量 『35mAh』ですので
→ (35mA÷0.34μA)×h ≒ 102,941 (h)
≒ 4,289 (日) = 11年と75日
(D) バックアップ一次電池がCR1025の場合は
公称容量 『30mAh』ですので
→ (30mA÷0.34μA)×h ≒ 88,235 (h)
≒ 3,676 (日) = 10年と26日
机上の計算ですが上記の様になりリチウムボタン電池では年単位の時刻保持が可能です。こちらは常温環境前提での計算ですが高温環境ではRTC自体の消費電流は増えますので電池の消耗がより早く進みます( RV-8803-C7の温度対温度の消費電流変化については RV8803-Raspiマニュアルの11ページ をご参照下さい)。またそれ以外の要因:電池自体の長期での自己放電や温度変化による(低温)電圧降下、その他部品のばらつきなどの誤差要因があります。
EVI端子は RV-8803-C7 及び RV-3028-C7 に搭載されています。主に以下の2通りの用途があります。
(1) イベント発生時のタイムスタンプ機能のトリガ入力として使用する場合:
いずれの機種もレジスタ設定によりEVI端子 に外部イベント入力があった際に入力時の時刻情報を所定のレジスタにタイムスタンプ情報として保持する事が出来ます。詳しくは各機種アプリケーションマニュアルをご参照下さい。
(2) 時刻設定のトリガとして使用する場合:
EVI端子の イベント入力をトリガにして割り込み信号を発生させて正確な時刻設定のトリガとします。
※また EVI端子の機能を使用しない場合はGNDにプルダウン接続して下さい。オープンにしてしまうと消費電流が増えてしまう場合があります。
温度補償機能の無い機種の温度特性は内部の32.768kHzの水晶振動子の特性がそのまま現れます。
以下のグラフの様になります。
(下グラフ 縦軸:周波数偏差/単位:ppm、横軸:温度/単位:℃)
(実際の頂点温度は±数℃の個体差ばらつきがあります。)
水晶振動子単体の温度特性は概略で -40℃時:-147ppm Typical, +85℃時:-126ppm Typical になります。
RV-8063-C7 を4線インターフェースのマイコンに接続する場合の例として、下図の赤で囲んだ部分のマスタのマイコンのSDI の入力部に抵抗を直列に挿入する方法があります。4線インターフェースのマイコンでうまく通信出来ない場合にはこちらをご参考にされて下さい。
挿入する抵抗の値は 『1kΩ〜10kΩ』くらいが目安ですが、実際基板でのテストにて最適な値を設定されて下さい。
赤外リフローの場合は、ホットスポットと呼ばれる温度の高い特異点が基板上に発生してしまうことがあります。リアルタイムクロックがホットスポットに晒されてしまいAu-Sn接合の融解温度を超えてしまうと封止部分が融解してリークが発生し内部の真空を保てなくなり、特性を劣化させて回復不可能な故障になってしまいます( 参考:リアルタイムクロック お取り扱い上の注意点 )。量産時の歩留まりにも影響する可能性があるため『温風リフロー』を推奨します。
リワーク作業はリーク故障のリスクが伴いますので一度基板から取り外した部品は製品にはご使用にならない様にして下さい。
どうしてもリワークする必要がある場合は、上記のリフローの件と同様で、リワーク時もリアルタイムクロックのケースに280℃以上の熱が加わるとリーク故障してしまうため、ホットエアガンは使わずにはんだの小手先を270℃以下として、ケースのリッド部(金属フタ部分)に触れないように取り外す必要があります(参考: リアルタイムクロック お取り扱い上の注意点 )。
リーク故障したものは見た目には違いは分からず、長期の運用で時刻ズレが判明するなど故障が分かりずらい場合もあるので、一度実装基板から取り外したものは安全のため製品にはご使用にならない様にして下さい。
<関連情報>
・リアルタイムクロック(RTC)モジュールの Q&A
・リアルタイムクロック(RTC)モジュールの主な機能
・水晶振動子内蔵リアルタイムクロック(RTC)モジュールのメリット
・リアルタイムクロック(RTC)モジュールの時計精度の計算について(月差・日差)
・リアルタイムクロック(RTC)モジュールの接続回路例(電源切替機能付き 及び 電源切替機能無しタイプ別)
・リアルタイムクロック(RTC)モジュールのバックアップ電源自動切替機能について
・型番毎の消費電流について (RV-8803-C7, RV-3028-C7, RV-8263-C7での実測例)
・リアルタイムクロック(RTC)モジュールのバックアップ電池について(一次リチウムコイン電池・電気二重層・全固体電池)
・高精度/温度補償リアルタイムクロック(RTC)モジュールの温度特性
・I2Cインターフェースについて
・リナックスドライバのダウンロード