★リアルタイムクロック ( RTC ) モジュール の主な役割と様々な機能について

 

 XTAL内蔵リアルタイムクロックモジュール とは、RTC機能のICと水晶振動子が一体化した1チップモジュールです。時刻(秒・分・時間)及びカレンダー情報(日・曜日・月・年)を正確に保持します(うるう年は自動で補正)。内蔵のXTALは時計用の低周波32.768kHzを用いているため非常に低消費電流で時刻を保持します。また時刻保持以外にも、クロック出力・タイマー・アラーム・時刻更新(毎分・毎秒など)・外部イベント検出・タイムスタンプ、また一部機種では 温度センサ・温度アラーム機能 などの付加機能があり、定常時はバックアップ電源で低消費電流で時刻を保持し、定期的にタイマーまたはアラームでマイコンをウェイクアップさせて動作させてシステム全体の消費電力を最小に抑えることも活用されています。

 
■時刻・カレンダー情報について

リアルタイムクロック 時計

リアルタイムクロックモジュールは単体で時刻(1/100秒※・秒・分・時間)及びカレンダー情報(日・曜日・月・西暦年)を保持し続けます。

(※1/100秒は一部機種に搭載)

システムのメイン電源がオフになってもバックアップ電源で動作し続けるため、システムの待機時の消費電流を大幅に削減できます。

ある時刻になったらアラーム割り込み信号を出力してシステムをウェイクアップさせることも出来ます。

また繰り返しカウントダウンタイマ機能を用いることにより定期的にウェイクアップさせることも出来ます。

 

水晶振動子一体型のリアルタイムクロックモジュールは非常に小型かつ低消費電流のため、省スペースでリアルタイムクロック機能を付加することが出来ます。

<ヒント>

★カレンダー情報に関して多くのリアルタイムクロックモジュールは2100年までのうるう年を自動補正します。

 
■割り込み信号の出力機能について

 割り込み信号は INT端子からイベント発生時に Active=Low でマイコンにイベント発生を知らせるリアルタイムクロックの重要な機能です。

アラーム機能やカウントダウン・タイマ機能により、指定した時間または時間間隔にてRTCモジュールから割り込み信号を出力しマイコンを起動させる際のウェイクアップ信号等に使用します。出力可能な割込み信号の種類は機種毎に異なります。詳細は各機種毎のデータシートでご確認下さい。

≪割り込み信号の種類≫

◎アラーム割り込み (全機種

◎カウントダウンタイマ割り込み(全機種

◎時刻更新割り込み(全機種

◎外部イベント入力割り込み (RV-8803-C7RV-3028-C7RV-3032-C7 のみ)

◎バックアップ電源切替り割り込み (RV-3028-C7RV-3032-C7 のみ)

◎パワーオンリセット割り込み (RV-3028-C7RV-3032-C7のみ)

◎低電圧検出割り込み (RV-3032-C7 のみ)

◎動作温度超過割り込み (RV-3032-C7 のみ)

<ヒント>

★割り込み信号の種類によって自動で信号が停止 (Low→Highへ戻る)するものと、マイコンからの "クリア"によってのみ停止するものとあります。

 
■時刻アラーム機能について

リアルタイムクロック アラーム""

 アラームは目覚まし時計と同様に設定した時間になるとリアルタイムクロックモジュールの『INT端子』から割り込み信号を出力する機能です。機種により設定出来る内容が異なりますが、日・時・分、または曜日・時・分・秒、などの組み合わせで設定が出来ます。

(毎分または毎時 〜 月に1回などの設定が出来ます)

アプリケーションをある時刻になったらスリープ状態から起動させる用途にも使用できるため、システムの省電力化 に活用することも出来ます。

<ヒント>

★アラーム割り込み信号は出力されると、通常はレジスタ書込みでクリアされるまで出力し続けます。

 
■繰り返しカウントダウンタイマ機能について

リアルタイムクロック タイマー

繰り返しカウントダウンタイマ は、

@『カウントダウンタイマ基準周波数』 

A『カウントダウン数』

の組み合わせでタイマ時間を設定しカウントダウンが0(ゼロ)になると『INT端子』から割り込み信号を出力する機能で、繰り返しの動作が可能です。一定間隔でマイコンをウェイクアップさせることが出来るため、システムの消費電流を削減させることも出来ます。

 

『タイマ基準周波数』 × 『タイマカウントダウン数』 = 『タイマ間隔』 

 

タイマ設定可能時間は機種により異なります。また割り込み信号の出力時間については機種毎のアプリケーションマニュアルにてご確認下さい。

 

<ヒント>

★カウントダウンが "0" になる前にRTCに再設定書込みを行うとカウントダウンを設定値から再スタートする機種もあり、疑似的に 『ウォッチドッグタイマ(WDT)』 として使用することも出来ます。

 
■時刻更新 割込み信号機能とは

リアルタイムクロック 割込み信号

 

 毎秒または毎分、30秒毎または毎分 など(機種により異なります)定期的にリアルタイムクロックの『INT端子』から割り込み信号を出力する機能です。例えば、

 

(時:分:秒)

 00:00:00 →割り込み信号出力

 00:00:01  

  ・

  ・

 00:00:59

 00:01:00 →割り込み信号出力

 00:01:01  

  ・

  ・

 00:01:59

 00:02:00 →割り込み信号出力

 00:02:01  

  ・

  ・

 など毎分ちょうど(機種によっては毎秒、30秒毎など)などにマイコンに信号を送りたい場合などに活用できます。

<ヒント>

★通常はこの時刻更新割り込み信号は出力された後で自動でクリアされます。

 
■外部イベント入力割り込み機能 及び タイムスタンプ機能

『EVI端子』(外部イベント入力端子)を備えている機種で、イベント入力があった際に『INT端子』から割り込み信号を出力する機能です。イベント入力があったことを マイコン側 に知らせます。

イベント発生時のタイムスタンプを記録する用途で使われます。セキュリティチェックが必要なドアの開閉のタイムスタンプ、遊戯機器で異常な振動検出の証拠としてのタイムスタンプなど、イベント発生の際の時刻の記録に使用されます。

 

※ RV-8803-C7 及び RV-3028-C7, RV-3032-C7にこの機能が備えられています。

<イベント発生〜タイムスタンプの読込み>

 

リアルタイムクロック イベント入力 タイムスタンプ

 @外部イベント入が発生し、EVI端子に外部信号が入力される

 ARTC内部のメモリ(レジスタ)にタイムスタンプが記録されます。

 B同時にINT端子からMCUに割込み信号を送ります。

 (外部イベント入力割り込み信号出力を有効に設定しておきます)

 C割り込み信号をトリガとしてMCU からリアルタイムクロック内部のタイムスタンプを読み込みます。

 

RV-8803-C7 は 『 1/100秒・秒 』、 RV-3028-C7 では『 秒・分・時・日・月・年 』、RV-3032-C7 では『 1/100秒・秒・分・時・日・月・年 』のタイムスタンプをリアルタイムクロック側で保持します。

※ 外部イベント入力をトリガとして不正検出・防止の用途 に使用することも出来ます。

 

【参考情報】 (ホワイトペーパー)E リアルタイムクロックモジュールによる不正検出について

 
■クロック出力機能について

リアルタイムクロック クロックパルス

 

リアルタイムクロックの内部の32.768kHz水晶発振を基準に32.768kHz〜1Hz の間でクロック出力を設定できます。

マイコンなど周辺デバイスへのクロックなどに活用できます。出力できる周波数は機種により異なりますので各機種のデータシートでご確認下さい。

 

RV-3032-C7 でのみ、8.192kHz〜67.108MHzまでの高周波のクロック出力が可能です。

<ヒント>

★このクロック出力が不要な場合はオフとすることで大幅に消費電流を削減できます。

 
■バックアップ電源切替え機能について

メインのVDDからの電源がオフまたは低下した際に自動でリアルタイムクロックをバックアップ電源での動作に切り替える機能です。

この機能がある場合はバックアップ電源での動作時にはバックアップモードに切り替わります。 RV-3028-C7 及び RV-3032-C7 では切替のスイッチにも低消費電流化が図られており、電源切替え時の電流ロスがほとんどありません(nA以下レベルです)。

 

以下は RV-3028-C7 の回路ブロック図のバックアップ電源切替え部分の抜粋です。

・電源切替部は切替スイッチになっておりダイオードを用いていないので漏れ電流がありません。

 

※『バックアップモード』への自動切替り

『バックアップ電源自動切替え機能』のある機種では、電源がバックアップ電源に切り替わると自動的に『バックアップモード』に移行します。

・I2Cインターフェース を自動でオフ

・CLKOUT出力を自動で自動オフ

となり消費電流を抑制します。

バックアップ電源→メイン電源へ戻るとこれらのオフになっていた機能は自動でオンに戻ります。

RV-3028-C7 及び RV-3032-C7 はバックアップモードでも割り込み信号を出力させることが出来ます。

 

このバックアップ電源自動切替え機能の無い機種の場合は、外部にダイオードをする必要があります。

→ リアルタイムクロックの回路接続について

<ヒント>

常時電圧モニタリングにより、VDD電圧<VBACKUP電圧 になった時点で切り替わる『ダイレクト切替モード』とVDD電源がある"閾値電圧"を下回るとVBACKUPに切り替わる『レベル切替モード』を設定に出来る機種 ( RV-3028-C7 及び RV-3032-C7 ) があります。

 
■トリクルチャージ機能とは

『バックアップ電源自動切替え機能』のあるリアルタイムクロックでは、

充電式の二次電源使用時のためにトリクルチャージ機能を備えています。

トリクルチャージ抵抗をレジスタで設定することができ、過充電を防止します。

 

RV-3032-C7 ではさらにトリクルチャージ"電圧"を選択することができ、全固体電池の充電も可能です。

 

<RV-3032-C7 のトリクルチャージ機能ブロック図>

リアルタイムクロック チャージ

 

<ヒント>

★バックアップ電源に一次電池を用いる場合はトリクルチャージ機能はオフにします。

 
■低電圧検出フラグとは

リアルタイムクロック 低電圧

 リアルタイムクロックには "低電圧検出" のフラグビットが備えられています。リアルタイムクロックへの電源供給が途絶えると、RAMの時刻情報がクリアされて初期状態になってしまったり、または内部の基準クロックが電圧低下で停止してしまいその間時刻情報が止まってしまうなど、いずれの場合でも正しい時刻では無くなっています。その場合には再度の時刻設定が必要です。時刻読込み時にこのフラグを確認することで、時刻情報の有効・無効を判別できます。

 

一部の機種 (RV-3032-C7) は低電圧検出時に割り込み信号を出力させることが出来ます。

<ヒント>

★通常起動直後にはこのフラグが出ている状態のため必ず起動直後にクリアします。

 
■リセット機能の種類について(機種毎に異なるRESET機能)

@パワーオンリセット(ほとんどの機種で共通)

 いずれの機種にも備えられており電源投入後にレジスタ値が初期値にリセットされます。 (ROMレジスタを備えている機種では、RAMレジスタ部分のみが初期化されます)

 

Aレジスタを初期値に戻すリセット

レジスタへの書込みによりレジスタ設定を初期化するリセットですが、機種によってはこの機能はありません。機種毎のアプリケーションマニュアルでご確認下さい。

 

B時刻のタイミング調整のためのリセット(ソフトウェアベース)

ソフトウェアベースでのタイミング調整を行うためのリセットです。RESETビットを有効にした状態で時刻を設定しておき、RESETビットをリリースすることで時計をスタートさせることで時刻情報の『秒』のタイミング調整を行います。

 

C時刻のタイミング調整のためのリセット(ハードウェアベース)

ハードウェアベースのタイミング調整は、外部イベント入力(EVI端子)への信号入力時にERSTビット がリリースされて時計をスタートさせることで1/100秒レジスタを00からスタートさせて高精度なタイミング調整を行います。イベントリセット(ERST)といいます。

 

<ヒント>

★BCは高精度RTC RV-8803-C7及び CはRV-3032-C7 に備えられています。

( RV-3032-C7 の場合は CはESYNビットを使用して設定します。Bと同様の機能は RV-3032-C7の場合は時刻の"秒"への書込みで行います)

 
■パワーオンリセット割り込み信号とは

リアルタイムクロック パワーオンリセット

機種によりパワーオンリセット(POR)が発生した際に『INT端子』から割り込み信号を出力させることが出来ます。

( EEPROMレジスタのある RV-3028-C7 及び RV-3032-C7 のみの機能です)

<ヒント>

★この割り込み信号によりRTCにパワーオンリセットが発生して再設定が必要な状態になっていることをマイコン側へ知らせることが出来ます。

 
■リアルタイムクロックとマイコンとの通信インターフェースについて

 

 ※弊社扱いのリアルタイムクロック は全てシリアルインターフェースのものです。

 (パラレルインターフェースのものはありません)

インターフェース規格は製品により異なります。

 ・I2C .... 2線 ..... 〜400kHz

 ・SPI ..... 3線 または4線 ...... 〜1MHz/7MHz/8MHz

 I2C インターフェースの方が多く採用されています。通信速度は〜400kHz (Fast Mode)で他のI2Cデバイスとの同時接続が可能です。I2Cデバイスは個別のI2Cアドレスを持ち、アドレスは型番により決まっています(各型番のI2Cデバイスアドレスはマニュアル内に記載されています)。I2Cインターフェースはより多くのアプリケーションで活用されています。

→ I2Cインターフェースについて

 

 SPIインターフェースのものは、通信速度は 〜1MHz, 〜7MHz, 〜8MHzなどより高速な通信が可能です。通信速度上限は型番によります。SPI通信の場合はマイコンと1対1で接続され、より信頼性を求める用途で使用されます。