ホワイトペーパーB

高精度リアルタイムクロックモジュールによる不正検出・防止
(外部イベント入力とタイムスタンプ機能の活用)

このホワイトペーパーのポイント

高精度かつ低消費電流・小型パッケージのリアルタイムクロックモジュール RV-8803-C7>の
『外部イベント入力機能』及び『タイムスタンプ機能』を用いて、タンパー検出(改ざん・機器の開封などを検知)
及び発生時のタイムスタンプを記録することができます。
RV-8803-C7 を用いることで、費用対効果の高いソリューションを得られます。

 

(1) 概要
(2) キーワード
(3) IoT: 大幅に成長するシステム ネットワーク、拡大するローカル エリア ネットワーク
(3.1) システム構成に必要なもの
(3.2) RTCモジュールで不正検出・改ざん防止することのメリット
(4) 結論

 

(英語原本)Real-Time Clock also protects your system. Immediate tamper detection /protection( 2016-08 Rev.1.0 )/ Microcrystal

 

 1. 概要

 

このホワイトペーパーでは『RV-8803-C7』高精度リアルタイムクロックモジュ―ルを用いた不正・改ざん防止について述べます。
近年、周辺デバイスの増加・オールコネクテッド化・IoT化に伴いセキュリティ面の重要性が増しています。
RV-8803-C7』を用いることにより低消費電流で24 時間体制で不正や改ざんを検出しアプリケーションを保護することが出来ます。

※この機能(外部イベント入力/EVI端子の機能)は 『RV-3028-C7』及び『RV-3032-C7』にも備えられています。

 

 2.  関連キーワード

 

・時刻の正確さ
・安全性
・脆弱性対策
・攻撃対策
・不正防止、改ざん防止
・詐称防止
・変更管理
・低消費電流

 

 

 3.  IoT: 大幅に成長するシステム ネットワーキング、拡大するローカル エリア ネットワーク

 

最近の新しいデバイスには、USB/Bluetooth/WiFi/有線などのネットワーク接続機能が装備されています。
これによりデバイスの制御・更新・充電が非常に快適になる反面、脆弱性が増加しています。 ソフトウェアベースでは ネットワーク経由での不正行為を回避してデータ通信を維持し続けるために、恒久的な対策が取られています。

 

その一方でハードウェア攻撃は避けられません。
したがって、誰かが何らかの操作のために機器の筐体を開けているかどうかを検出する方法が必要になります。
機構設計者は筐体を開けにくい設計にするなど機械的に堅牢にすることでリスクを最小限に抑える様に配慮しています。
RTC モジュール『RV-8803-C7』 は、専用の機能として『外部イベント入力機能』を備えています。『外部イベント入力機能』は多数のスイッチまたは接点を監視するのに理想的です。

 

( RV-8803-C7 を用いた外部イベント入力の接続ブロック図)

 

ユニバーサル入力 EVI とそのパラメータは様々な項目で設定可能です。検出の極性、誤検出や機械的スイッチのデバウンスによる誤動作を回避するためのフィルタ設定、割り込み信号、フラグ設定などです。 アプリケーションでは、多数の機械的接点をデイジー チェーン(数珠つなぎ)接続することができ、2つの部分が分離されているかどうかを検出するためのピン、マイクロ スイッチ、または 2つのハーフシェルのローカルメタライゼーションなど、さまざまな接点方法を適用できます。 目標は、ケーシング (ボックス) が開かれたときにすぐに検出することです。

 

 

(左)機器の取り外しを検出
(中)ハーフシェルの筐体
(右)その他の検出オプション

 

 

 

 

外部イベント入力 (EVI) を検出すると RV-8803-C7 は割り込み信号を出力してマイコンにイベント検出を通知し、
マイコンは以下の動作を行うことが出来ます。
●アプリケーションの停止または無効化を実施
●割り込み信号によるアラームの発出
●RTCのフラグをクリアし次のイベント検出に備える
●ネットワークを介してインシデントを警告する通信をトリガーする 

●発生した正確な時刻を記録する(タイムスタンプ)

事例:)電気メータの場合:
メーターがいつ操作されたかを記録することが出来るため、メーターの不正操作などの行為を検出・防止することが出来ます。RTCモジュール『RV-8803-C7』は動作モードに関係なく 低消費電流 で継続的に監視することが出来ます。

 

<3.1 システム構成に必要なもの>

●スイッチまたは接点
●割り込み実行ルーチンの小さなファームウェア の アップデート

 

<3.2 RTCモジュールで不正検出・改ざん防止することのメリット>

この機能をメインのマイクロコントローラではなく RTC に持たせる大きな利点は次のとおりです。
●常にアクティブ: 通常のシステム操作、スタンバイ、電源オフ、さらには休止モード全般で。
●余分な電力消費の削減(低消費電流化)
●マイコンの標準プログラム ルーチンのソフトウェアスタックと優先度に依存しない


( 『RV-8803-C7』はクラス最高の精度でかつ低消費電流で超小型のパッケージです)

 

RTC『RV-8803-C7』 は 電源オフになることなくアプリケーションのいくつかの重要な機能を担います。
その結果、メインコントローラはスタンバイモードのままになるため 電力を節約できます。
●時間の追跡と維持: わずか 0.24μA / 3V で最高精度 (±0.26 秒/日)
●不正検出: イベント入力
●ソフトウェア監視:(ウォッチドッグによる)
●スリープ モードの電力管理。 コントローラを定期的にウェイクアップする
●ユニバーサル タイマーの設定も可能

 

 

 4. まとめ

 

業界で最も低消費電流(※1)の温度補正リアルタイム クロック モジュール 『RV-8803-C7』 は、専用のイベント入力端子を備えています。 業界で初めて(※1)わずか 240nA の消費電力でシステムを改ざんから保護することができます。 マイクロコントローラを常にアクティブにしておく必要はありません。
さらにPCB基板の面積を最小限に抑え、BOM への影響をほとんど必要としない低コストの RTC バックアップ ソリューションを、スーパーキャパシタ、ショットキー ダイオード、および Micro Crystal 製の RTC モジュール『RV-8803-C7 』を使用するだけで設計できるようになります。
RV-8803-C7 の回路接続例

 

RV-8803-C7』オールインワンの機能:
  ・正確なタイミング: 1 週間あたり 2 秒未満の偏差
  ・改ざん検出
  ・最低消費電力: 240 nA / 3 V ≒ 0.72 µW
  ・最小パッケージ: 1.5 x 3.2 x 0.8 mm(水晶振動子内蔵)

 

 

 

※1) ホワイトペーパー発行時点(2016年8月)にて。
2020年8月より高安定でより低消費電流の『RV-3032-C7』がリリース・量産化されています。 『RV-3032-C7』も同様の外部イベント検出機能・割り込み信号出力・タイムスタンプ機能を備えています。

 

 

お問合せ/サポート窓口

・(株)多摩デバイス お問合せ先(日本国内)
( mailto: microcrystal@tamadevice.co.jp
 または お問合せフォーム

 

・Microcrystal 問い合わせ窓口(スイス/グレンヘン)
( mailto: marketing@microcrystal.com )
( mailto:  tech-support@microcrystal.com

 

 

 

 

<関連情報>
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