★リアルタイムクロック(RTC)モジュール の主な役割と様々な機能について

各種バックアップ電池・電源でのバッテリの持ち時間について

※ バックアップ電源にセラチャージTM(全個体電池)を実装できる
高精度RTCモジュール <RV-3032-C7> の評価ボード
 ラズパイ(c)にそのまま搭載して評価テストを行えます。

(1) 高精度RTCモジュール <RV-8803-C7> での一次リチウム電池を使用する例

(5年〜10年以上の長期間の電源バックアップが必要な場合)

( 回路構成/RV-8803-C7の場合 = 電源切替機能無し・ダイオードを使用

 

   ( → RV-8803-C7 の回路接続について

 

@ RTC (RV-8803-C7) の消費電流 = 0.24uA Typ. (+3.0V, @+25℃)
A バックアップ切替のダイオードの漏れ電流 = 0.1uA Max.
   (推奨品番のダイオードの仕様より)
∴消費電流は @A合計で 『0.34μA』となります。

↓ ↓ ↓

以下、各サイズのリチウムコイン電池の容量を元にした持ち年数の単純な計算例です。
(実際には電池の自己放電・自己劣化がありますので期間が長くなればなるほど
 この計算通りにはならない面がありますのでご配慮下さい)

 

(A) バックアップ一次電池が CR2032の場合、公称容量 『220mAh』
  → (220mA÷0.34μA)×h ≒ 647,058 (h)
    ≒ 26,960 (日) = 73年と315日

 

(B)バックアップ一次電池が CR1620の場合、公称容量 『75mAh』
→ (75mA÷0.34μA)×h ≒ 220,588 (h)
  ≒ 9,191 (日) = 25年と66日

 

(C) バックアップ一次電池がCR1220の場合、公称容量 『35mAh』
→ (35mA÷0.34μA)×h ≒ 102,941 (h)
  ≒ 4,289 (日) = 11年と75日 

 

(D) バックアップ一次電池がCR1025の場合、公称容量 『30mAh』
→ (30mA÷0.34μA)×h ≒ 88,235 (h)
  ≒ 3,676 (日) = 10年と26日 

上記は机上の計算ですがリチウムボタン電池では年単位の時刻保持が可能です。こちらは常温環境条件での計算です。高温環境では@RTC自体の消費電流の増加 Aダイオードの漏れ電流の増加 により電池の消耗がより早く進みます(RV-8803-C7の対温度の消費電流変化については RV8803-Raspiマニュアルの11ページ をご参照下さい)。またそれ以外の要因:電池自体の長期での自己放電や温度変化による(低温環境での)電圧降下、その他部品のばらつきなどの誤差要因があります。
実際の製品設計の際には十二分に電池容量に余裕のあるの電池を選択します。
( 一般には CR2032が良く用いられています )

 

(2) <RV-3028-C7>にて電気二重層コンデンサを用いる場合の例

(数時間〜1ヶ月程度までのバックアップが必要な場合)

( 回路構成/RV-3028-C7 の場合 = 電源切替機能付き・トリクルチャージ機能付き )

 

   ( → RV-3028-C7 の回路接続について

 

 

<RV-3028-C7 リアルタイムクロックのレジスタ設定>
 (レジスタの設定により消費電流が変わります)
@ 『ダイレクト電源切替えモード』に設定
A 『トリクルチャージ:オン』に設定
  この時のRTCのバックアップ時の消費電流 = 0.095uA Typ. (+3.0V, @+25℃)」
※ RV-3028-C7 は電源切替回路内蔵のため、外部のダイオードは不用です。

↓ ↓ ↓

<超小型SMDチップ電気二重層コンデンサを用いた場合の例>
・リアルタイムクロックモジュール品番: RV-3028-C7-TA-QC
・電気二重層コンデンサ: 3225サイズ/容量:0.011F
・Vdd電圧:+3.3V (RV-3028-C7の動作電圧:+1.1〜+5.5V/時計保持時 )
・温度: 室温環境
・トリクルチャージ抵抗: 3kΩ

( RV-3028-C7の時刻保持最低電圧 ≧1.1V )

・電気二重層コンデンサの容量値(0.011F)を電池容量に換算すると簡易計算で約4.5μAh 程度になります。RTCモジュールの消費電流が0.095uA Typ.とすると 4.5(uAh)÷0.095(uA) ≒ 47.36(時間)のバックアップ時間となり、実測テストの結果もそれに近い値になっています。

 

容量が増えるとその分保持時間も伸びますので、例えば0.22Fの電気二重層コンデンサの場合は電池容量に換算すると簡易計算で約100μAh 程度になりますので、100(uAh)÷0.095(uA) ≒ 1052.6(時間)≒43日と20時間のバックアップ時間になります。

RV-3028-C7 で一次リチウム電池をバックアップ電源に用いる場合は、『レベル電源切替え』の設定を使用しトリクルチャージはオフとします。

(3) <RV-3032-C7> にてバックアップ電源として全個体電池を用いる場合

(電気二重層コンデンサと同等か少し長いバックアップ時間が必要な場合・バッテリの寿命を長くしたい場合など)

 RV-3032-C7 リアルタイムクロックモジュール は リクルチャージ機能にてVdd電圧以外に3段階(1.75V/3.0V/4.4V)のチャージ電圧を選択することが出来ます。そのため、小型SMDタイプで商用で製品化されているTDK社の セラチャージ(TM)(最大充電電圧が『1.8V』の全固体電池)を外部レギューレータ不要でそのままバックアップ電源として使用出来ます。
『全固体電池』は従来のリチウムイオン電池と異なり液漏れや発火のリスクがなく安全性に優れており、かつ電気二重層コンデンサよりも長寿命・高容量の優れたバッテリーです。

 

RV-3032-C7 のトリクルチャージ部 回路図)

 

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