精度が良く低消費電流のリアルタイムクロックモジュールをEV充電設備の設計に用いると多くのメリットがあります。
通信ネットワークが途絶えた場合でもローカル(エッジ)サイドで正確な時刻情報を保持し、通信環境に影響されずに電気料金の安い時間帯に充電を行うなどスマートな運用を安定して行えるようになります。また充電機器を必要な時以外はオフにし必要な時刻に必要な機能をェイクアップさせることも出来るため余分な電力消費も抑えることができます。
EV充電ステーション、および電気自動車供給機器 (EVSE) はプラグイン電気自動車 (EV) を充電するためにグリッドから電気エネルギーを供給する装置です。シンプルな家庭用ウォールボックスからより高度な充電設備まで含めて、EVSE 制御システムは、主にパワーステージ/駆動リレー/メーター/通信回線/ユーザーインターフェースから構成されています。
<EVSE制御ボックス>
このようなシステムでは、スマートメーターを使用して電気使用量をエネルギーグリッドからユーザーへ伝えます。電気メータ(スマートメータ)は通常時はAC電源ラインから主電源を得ています。AC電源が断となってしまった際には、スマートメータ (AMI:Advanced Metering Infrastructure)が中央管制室との通信ネットワークを行うための十分な電力を保持しておく必要があります。
スマートメータのボックス内部でのバックアップ 電源ストレージのサイズとコストには制約があるため、データのバックアップとステータス レポートの機能を維持するために、低価格で低電力指向の設計が重要です。
消費電流が非常に小さい Microcrystalのリアルタイム クロック (RTC) モジュール を用いることにより タスクが不要なときにマイクロコントローラの電源を切ることが出来るため大幅な電力の節約が出来ます。
リアルタイム クロック (RTC) モジュールを搭載したスマートメーターは、EVSEのリアルタイムのインターフェースであり、
以下の機能を実現できます。
●安定性 (経時的な正確な電力測定) RTCによりローカルで時刻情報を保持
●信頼性 (24 時間年中無休の可用性、継続的な監視)
●インテリジェンス (エッジ コンピューティング、デマンド レスポンス管理)
Micro Crystal の Real-Time Clock (RTC) モジュールの仕様により、EVSE機器内部にて安定して信頼性が高いインテリジェントなスマートメータ―の運用が可能になり、グリッドの最適化と持続可能な使用を実現できます。
< Microcrystalのリアルタイムクロックモジュールの特性(型番抜粋)>
型番 |
インター |
時刻精度の安定度/機能 |
RV-3129-C3 | I2C |
非常に幅広い温度範囲 (-40〜125℃) |
RV-3149-C3 | SPI |
非常に幅広い温度範囲 (-40〜125℃), |
RV-3028-C7 | I2C |
標準的な温度範囲 (-40 to +85℃), |
RV-3032-C7 | I2C |
幅広い温度範囲 (-40〜+85℃) *拡張温度範囲:+85〜+105℃ |
RV-8803-C7 | I2C |
幅広い温度範囲 (-40〜+85℃) *拡張温度範囲:+85〜+105℃ ±3.0ppm の 時刻精度(全温度範囲にて/温度補償タイプ) |
充電施設が地下にある場合、リモート制御の問題が発生する可能性があります(駐車場や遠隔地)。
RTC を使用すると、グリッド通信ネットワークとの接続が中断された場合でもローカルで正確な時間管理が保証されます。
またOff-the-Grid アプリケーションや、電気自動車の所有者がピーク時または緊急時に電力をグリッドに戻して収益を得ることができます。
ほとんどの EV 充電器は通常、寿命の 85% の間はスタンバイ状態のままです。
MCU がディープ スリープ モードの状態の間、計時用の超低電力 RTC モジュールを使用することで、消費者や企業は充電コストを削減できます。
MCUは 信頼性の高いリアルタイム データを使用して、プログラムされた充電設定 (TOU、オフピーク期間) に基づくスマートな操作を可能にし、スマートグリッド企業とユーザーのために EV充電ノードからの信頼性の高いレポートでエッジコンピューティングをサポートできます。
RTCを使用することによるメリットは、エネルギーを節約しながらシステムに信頼性と効率を追加するだけではありません。 例えば 『RV-3032-C7』に搭載されている12 ビット温度センサーの機能及び高精度な時刻情報により、EVSE機器内部の温度管理及びアラーム発生を、正確な時刻精度で管理することが出来ます。
〜リアルタイムクロック(RTC)モジュールを使用するメリット〜
●持続可能な節電運用
RTCを低消費のバックアップ電源で運用することによるユーザーにとってのエネルギーとコストの節約
●信頼できる時刻情報
ダウンタイムの削減、頻繁な時刻同期調整が不要、電源オフ時でも時刻情報が途絶えない
●グリッドに依存しないタイミング
遅延が発生しない、常にグリッドゲートウェイと接続している必要が無い
●機能の追加
温度監視によりさまざまな環境条件でより優れた安全な操作を可能に
お問合せ/サポート窓口
・(株)多摩デバイス お問合せ先(日本国内)
( mailto: microcrystal@tamadevice.co.jp)
または お問合せフォーム
・Microcrystal 問い合わせ窓口(スイス/グレンヘン)
( mailto: marketing@microcrystal.com )
( mailto: tech-support@microcrystal.com )
<関連情報>
・ RV-3032-C7 高精度・低消費電流・電源切替機能付きリアルタイムクロックモジュール
・ RV-3028-C7 超低消費電流・電源切替機能付きリアルタイムクロックモジュール
・ RV-3129-C3 高精度・電源切替機能付きリアルタイムクロックモジュール (I2C)
・ RV-3149-C3 高精度・電源切替機能付きリアルタイムクロックモジュール (SPI)
・ ホワイトペーパー一覧
・ 型番毎のテクニカルインフォメーション
・RV8803-Raspi バックアップ電池付きの評価ボード